懲戒解雇
懲戒解雇
高杉良 文春文庫
■ざっくりいうと
大手合成繊維企業で働く主人公が経営陣の闇の部分を知りすぎたことで、理不尽にも懲戒解雇を言い渡されてしまう。会社を相手にたったひとりで闘い抜いた話。
■胸にささった文章
・群れのリーダーたるものはつねに危機に対する余地能力をそなえていなければならない(P135)
■感想
高杉良の作品には、モデルになった会社・人物が大体いるが、本作も三菱油化で実際に起こった出来事、そしてその渦中の人物であった所沢仁さんをモデルにしている。こんなひどい会社って大手企業の中に存在するのか?と思っていたのだか…あったのか…
主人公である森の意思の強さ、行動力には目を見張るものがあるが、個人的には森の同期の人事課長、仁科がすごかったと思う。自分のキャリアも危うくなりそうなのに森のために行動している。もし私が仁科の立場になったらどうするのだろう…そして森の立場になったら…
自分では正義だと思っていても他人から見たら正義とは思えないかもしれない。でも、他人に左右されることなく自分の信念・正義に従って行動し続ける森・仁科は本当にすごい。
ところで、本作のようなむしゃくしゃする作品は通勤時に読むものではないですね。朝の通勤時に、懲戒解雇を言い渡される場面で下車駅に着いてしまい、イライラが募ったまま仕事をする羽目になりました。精神的によろしくない…