風が強く吹いている

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風が強く吹いている

三浦しをん  新潮文庫

 

ざっくりいうと

箱根駅伝への参加に思いを寄せるハイジが、天才ランナーの走と出会うことで、寮の仲間たちと箱根駅伝を目指す物語。

 

感想

最近三浦さんのエッセイばかり読んでいたので、たまには三浦さんの小説を。

まず思ったのは、ハイジのリーダーシップというか人材育成がすごいということ。上からぐいぐいではなく背中を押す感じで、しかもさりげなく胸に響く言葉を投げ掛け、やる気にさせる。明確なビジョンがあり、常に冷静で一歩も二歩も先のことを考えてしなやかに行動する。ま、小説だから、と言い切ることもできるが、見習いたい。

あとは走ることの楽しさ・美しさ。6区の山下りをハイペースで走るユキが感じるこの言葉。

「走、おまえはずいぶん、さびしい場所にいるんだね」

この言葉を読んで、走るってすごいなと鳥肌がたった。ここまでの境地に至るのは到底無理だが、私も定期的に走って走る楽しさを感じたい。

ストーリーとしてはあまりにも出来すぎという感じが否めなくもないが、疾走感のある展開でとても面白かった。

ちなみに、毎回小説を読み始める際に思うのが、登場人物を覚えられるかしら…ということ。今回は箱根駅伝が舞台ということで最低10名は登場するのだが、さすが三浦さん、人物をきちんと書き分けてある。どの人物にも感情移入できるのだが、私の性格はキングに近いかな。